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   航空 宇宙 つくば宇宙センター             Air & Space / Voyages to the space 

 

1.概要

 国立天文台は日本の天体科学研究における代表的な研究機関として、天文科学および天体物理学分野の研究教育活動を実施し、天体物理学専門組織として大学、大学院からの研究共同利用を受け入れています。
 

 組織はシンプルなプロジェクト制になっています。最近の例としては、すばる望遠鏡やALMA望遠鏡などのプロジェクトが挙げられます。また、太陽系外惑星探査プロジェクトや、月探査計画「かぐや」でも研究活動を実施しています。
 また、スペース
VLBI※では、国際的に高い評価を得ています。 

2.日本近代の天文観測 

  国の登録文化財になっている多くの施設、器具類からはデジタル技術とは無縁 の学者達の取り組みが伺えます。

  カールツァイス社製口径65cmレンズ、焦点距離1021cm(10.21m)望遠鏡。 右下の接眼部は背伸びしてやっと手が届く高さです。
 大赤道儀室_三鷹 65cm望遠鏡1

  副鏡でも口径38cm、焦点距離1083cmですからF値は何と 28.5です。 
     65cm望遠鏡2

 以下は第一赤道儀室 三鷹天文台最古の建物です。中にはカールツァイス製 20cm屈折鏡(fL=359cm,F 約18) が納まっています。1939年から60年間も太陽の黒点観測を続けました。 
第一赤道儀室  20cm屈折望遠鏡1


  追尾システムは 『 重錘式時計駆動 』 なるもので 支柱内に仕組まれた重錘が落ちる力を速度調整装置 でコントロールし、それを駆動力としています。

  左写真の接眼部下に紙が見えますが、ここに投影  された太陽をスケッチしました。


 









 「アインシュタイン塔」と呼ばれる太陽の観測装置で、アインシュタインの一般相対性理論を太陽光の観測から検証する目的で建てられたものです。
 アインシュタイン塔1 アインシュタイン塔2
 塔全体が望遠鏡の筒になっています。トップのドーム部分には太陽追尾機能を持つ2枚の直径60cm平面鏡が、直下の固定対物鏡(45cm径 fL14.5m)に太陽光を導き下のコリメータレンズ、プリズムで精密分光観測が行われました。
 太陽の重力で太陽光スペクトルの波長がわずかに長くなる現象…アインシュタイン効果…を検出する目的 (理解できませんが) でしたが、残念ながら検証はできなかったそうです。
  しかし戦後改良され、黒点磁場やフレアの観測では世界的に注目された成果をあげたそうです。


 以下は1880年ドイツ製の子午儀です。
 子午儀とは…? 恒星の子午線通過の観測に基づいて,恒星の赤経,通過の時刻,観測地点の経度のうち二つを既知として,残りの一つを決定するための天文器械。
                                …ウィキペディアによります。

 今や天体はデータベース化されていますが、当時は眼視で計測したのですから大変な労力だったと思います。

 子午儀室 レプソルド子午儀

 以下はゴーチェ子午環なるもので、天体の位置観測に使用されたものです。子午環は子午儀に目標天体の高度を測定する機能を付加したもので、これを用い天体の赤緯や観測地の緯度も測定しました。
子午環室 ゴーチェ子午環


器具類
  写真乾板上のスペクトル吸収線、輝線の位 置を精密に測定するため工夫を凝らした装置 の一部です。
 …と言われても理解不能ですが、器具の足ら ざるところを知恵、工夫で克服していること が解ります。



 
  乾板も展示されています。F15を超す望遠 鏡で、低感度の乾板での撮影でした。








  観測のため長時間、安定して正確に時を刻む時計 が必要で工夫がこらされています。左は天文用振り 子時計、考案者の名をとって「山下時計」です。 

  下はクロノメーターと呼ばれる時計です。
   天文クロノメーター



 65cm望遠鏡と共に活躍したカールツアイス製のカメラです。
                 右は 「ニコン」20cm屈折鏡です。

カールツァイスカメラ ニコン望遠鏡




三鷹の森1 三鷹の森2

 今では三鷹の森は古く深くなっており、そこを一歩踏み出すと四方は住宅が立て込み別世界です。(三鷹の森が別世界なのです…)
 時代の流れは如何ともしがたいですが、明治、大正、昭和(初期)の「三鷹村」の星々の輝きと、研究者達の眼の輝きはさぞかし素晴らしかったのだと思います。





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バナースペース



      Subaru Plane




  




 ※ VLBI
   Very Long Baseline Interferometry

 
超長基線電波干渉法とは、数十億光年の彼方にある電波星から放射される電波を、相当離れた複数のアンテナで同時に受信し、その到達時刻の差を精密に計測する技術

 
 天体の精密位置、距離計測、銀河の回転運動の研究が可能となり、更には地球上の複数地点の相対動きを掴めることから、巨大地震を起すプレートの相対動きも実測可能となりました。
 


 東京天文台関連年表 主な事項
   
年号 出来事
 明治21年  東京天文台設置
(麻布)
明治32年 緯度観測所設置
(岩手県・水沢)
大正3年 三鷹の建設工事開始
大正5年 三鷹本館起工
大正9年 太陽写真儀室竣工
 三鷹
(以下特記無きは三鷹)
大正10年 第一赤道儀室竣工
 −  黄色字は本頁に写真紹介のあるものです。
大正10年 本館竣工
大正14年 「理科年表」刊行開始
大正15年 大赤道儀室竣工
昭和4年 65cm赤道儀設置
昭和5年 アインシュタイン塔
建築完了
昭和21年 「暦象年表」の刊行
昭和24年 乗鞍コロナ観測所開設
昭和35年 岡山天体物理観測所観測開始、188cm反射望遠鏡観測開始
昭和37年 堂平観測所観測開始
昭和44年 野辺山太陽電波観測所観測開始
昭和57年 野辺山ミリ波電波望遠鏡観測開始
昭和63年 国立天文台発足
平成4年 野辺山電波へリオグラフ観測開始
平成11年 ハワイ観測所すばる望遠鏡ファーストライト
平成11年 重力波検出用干渉計
(TAMA300)観測開始
平成12年 堂平観測所閉所
平成12年 三鷹キャンパス常時公開開始
平成13年 国立天文台、欧州南天天文台、全米科学財団の3機関において、ALMA計画が合意
平成16年 大学共同利用機関法人自然科学研究機構発足
平成23年 ALMA望遠鏡初期科学観測開始
  




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